うちの小さい頃の食事と言えば、毎日の朝食に魚の干物。
夕飯は煮付けが中心で、刺身や塩焼き...天ぷらもありました。
夏になると、食卓に山と盛られたワタリガニが登場!
今思えば、「ご飯とワタリガニ」が夕飯だなんて、なんて贅沢だったんでしょうね。
※もちろん、そんな時に、ご飯なんて食べませんでしたけど(笑)
小さいころは何も考えていなかったけど、
こうして釣具屋で働くようになって、釣りを経験してみて、
「父が釣りに行って、魚を釣って来てたんだ。」ということを
初めて実感することに...
だって、釣れない日だってあっただろうし、
煮付けになっていたあの魚は、「外道(げどう)」だったんだろうなと思うし、
干物用の小さい魚をさばききるまで、ずーっと台所で立ちっぱなしだったし、
きっとお小遣いを貯めて、道具を買っていたんだろうと想像してみたりすると、
あぁ、もうそれだけで涙が出そうになります...グスッ。
数年前のある日のこと。
堤防釣りをしていたら、小さめのグレがたくさん釣れたことがありました。
「塩焼きにしようかなぁ」と思って持ち帰ったのですが、
急に小さい頃を思い出して、「あの朝食の干物」が食べたくなりました。
教えてもらった訳ではないので、自分の記憶をたどって、
早速、魚干し網(まさに魚を干す網!)をお店に買いに行きました。
「あの味」を再現すべく、調味料を調合して、魚をさばいて、
]風通しの良いところで、しっかり干して...
そうして、見た目もそれらしい、美味しそうな干物ができあがりました。
注)写真はイメージです(笑)
これは、船の上で釣ったスルメイカを干す、「沖干し」です。
風に吹かれて、魚が乾燥していく空気感をご想像下さい...そよそよ(笑)
実際、食べてみると、ほんの少し味付けが濃く、
「干物って意外と難しかったのね。いつも文句を言ってごめんね。」
と、心の中で父に謝ったのでした。
今年の父の日は、6月19日。
プレゼントを買うことばかり考えていたけれど、
今年は「ン十年ぶりに一緒に釣りに行く」っていうの、アリかなぁ...(照)
●●●ちょっと豆知識●●●
魚釣りはたいてい「〇〇を釣りに行く!」と、決めて行きます。
だから、お目当ての魚以外が釣れた時、その魚は「外道(げどう)」と呼びます。
立派な名前が付いている有名な魚だって、
「本命」以外は、すべて「外道」なんです...不思議ですね。